テレビ『はーい! 今日はとときら学園に、新しいおともだちがやってきてくれたにぃ☆』

テレビ『み、みゆです……よろしく、お願いします……』

テレビ『はーい。美優ちゃん、よろしくお願いしますね~~』

テレビ『う、うぅ……元気に、がんばります』




心「………」

梨沙「………」

心「やべぇよやべぇよ……これ、はぁともそのうちチャイルドスモック着せられちゃうやつだよ」

梨沙「アタシもそろそろ危ない気がしてきたわ……」

飛鳥「とときら学園は人気番組だからね。出演者も増加傾向にある以上、梨沙や心さんもゲストとして声がかかる可能性は十分にある」

梨沙「他人事みたいに言ってるけど、アンタだって幼稚園児の格好させられるかもしれないのよ?」

飛鳥「ボクはPを信じているからね。ボクのキャラから外れすぎている以上、彼がアレを着せようとしてくることはな――」



P「おーい、飛鳥! とときら学園に出ることになったぞ」ガチャリ

飛鳥「」

梨沙「一瞬で裏切られたわね」

心「世間ってスウィーティーにはいかないよね」

飛鳥「P……キミ、そういう目でボクを見ていたのか……」

P「?」

飛鳥「このロリコンめ……」

P「!?」グサーッ

梨沙「アタシがロリコンって言う時よりもダメージ受けてない?」

心「普段言われてない相手から言われればショックも大きいものなのよん♪」

梨沙「あ、それ知ってる。ギャップ萌えってやつよね!」

心「萌えじゃなくない?」

P「待つんだ飛鳥。何か誤解していないか? 出演オファーが入っているのは君だけじゃなくて、梨沙と心さんも」

梨沙「はあああああ!?」

心「あー、ついにうちのプロデューサーもとときらの波に飲み込まれちゃったか……上には逆らえないもんね、しょうがないよね」

梨沙「持ってきてくれた仕事はやるけど、めっちゃくちゃ文句言ってやるんだから!」

P「ええ……そんなに嫌なのか?」

梨沙「そりゃそうでしょ! アタシもうすぐ中学生なのに、なんで幼稚園の服着なくちゃいけないのよ!」

P「幼稚園の服? ……ああ、違う違う。3人には園児役で出てもらうわけじゃないんだ」

梨沙「え?」


2 :◆C2VTzcV58A :2018/03/06(火) 21:19:28.15 :R3SLFrm7O

P「――というわけで。3人には、番組内での『魔法少女ドラマコーナー』に出演してもらうことになりました」

心「なるほど♪ 新コーナーのメインキャストってことかぁ」

飛鳥「10分ドラマ……短い時間ではあるけれど、物語の構成はきちんとしたものにしてほしいな」

梨沙「鍛えられた演技力を見せる時が来たってことね! もちろん魔法少女の役はアタシでしょ?」

P「いや、梨沙は魔法少女と敵対するスパイシー帝国の幹部役だ」

梨沙「ええー? 主演じゃないの?」

P「セクシ-な演技が求められる役だから、しっかり頼むよ」

梨沙「セクシ-……ならしょうがないわね! アタシの出番だわ!」

心「ということは、はぁとが魔法少女だよね? ねっ?」

P「残念ながら心さんは少女じゃないので」

心「やん、辛辣ぅ♪ それで、なんの役なの?」

P「魔法の国の妖精役をやってもらいます」

心「妖精ってことは、羽とか生えてる感じ? それはそれでスウィーティー☆」

P「期待してます」

梨沙「あれ? アタシとハートさんが魔法少女役じゃないってことは、つまり」

飛鳥「………まさかとは思うが、P」

P「そう。飛鳥、君が主演の魔法少女役だ」

飛鳥「……フッ、そうか。まあ、魔法少女にもいろいろあるからね。光と闇を内包した、ビターな存在ならボクにも」

P「ちなみにドラマの正式名称は『魔法少女スウィーティー☆アスカ』だ」

梨沙「ビターの真逆みたいな名前ね」

心「やーん、スウィーティーが流行語大賞とっちゃう☆」

飛鳥「………本気か?」

P「マジで」

飛鳥「マジだ……」


3 :◆C2VTzcV58A :2018/03/06(火) 21:19:59.25 :R3SLFrm7O


梨沙「その日から、飛鳥の地獄のような特訓が始まったわ」

心「魔法少女になるため、心・技・体を磨く日々が幕を開けたぞ☆」


4 :◆C2VTzcV58A :2018/03/06(火) 21:21:59.49 :R3SLFrm7O

千佳「はい、マジカルステップスタート!」

飛鳥「しゃなり~、しゃなり~」

千佳「むぅ~、ちょっとカチコチしてる。ロボットみたい」

飛鳥「いっそアンドロイド魔法少女にしてみてはどうだろう」

千佳「主人公は普通の中学二年生だって、Pくん言ってたよ?」

飛鳥「……あぁ、知っている」

千佳「さ、もういっかいやってみよ? 目指せラブリーアスカ!」

飛鳥「スウィーティー☆アスカだよ」

千佳「あ、そうだった。ラブリーチカと同じにしちゃった、えへへ」

飛鳥「ラブリーチカ……キミの二つ名だったか」

千佳「二つ名?」

飛鳥「簡単に言えば、もうひとつの名前ということさ」

千佳「だったら正解! あたしが魔法のステッキで変身すると、ラブリーチカになるんだよ!」

飛鳥「ラブリーチカは、どんな魔法が使えるんだい?」

千佳「えーっとね……オシャレになる魔法でしょ? オトナになる魔法でしょ? あと、歌がじょうずになる魔法とか」

飛鳥「たくさん使えるんだね、千佳は」

千佳「あと、みんなをキラキラの笑顔にする魔法!」

飛鳥「……それはそれは、大魔法使いだな。キミは」

飛鳥「もう少しだけお付き合いいただけるかな、先輩魔法少女さん」

千佳「うん!」

千佳「あ、そうだ! 魔法少女はエンディングでダンスもしなくちゃいけないから、コーチを呼んできたよ!」

飛鳥「コーチ?」

ヘレン「ヘイ! 待たせたわね!」

飛鳥「……マジか」

ヘレン「マジで」

飛鳥「マジだ……」


5 :◆C2VTzcV58A :2018/03/06(火) 21:22:30.63 :R3SLFrm7O

ヘレン「さあ、行くわよ! 私の役目はあなたをダンサブルアスカに育て上げること」

飛鳥「スウィーティー☆アスカだ」

ヘレン「タオルを持って、ミュージックスタート!」

飛鳥「タオルは必要なのか?」

ヘレン「必ずしも必要ではないわ」

千佳「じゃああたしのステッキ貸してあげる! これ持って踊ろうよ!」

ヘレン「ナイスアイデアよ千佳! さあ飛鳥、ステッキを受け取りなさい。継承の儀式よ」

飛鳥「大仰すぎないかな……」

ヘレン「目指すは世界レベルの魔法少女の舞。蝶のように舞い、蜂のように刺すのよ!」ヘイヘイ

飛鳥「くっ……発言は強引ながら、ダンスのキレはやはり本物か」

千佳「ヘレンさんすごーい! 飛鳥ちゃん、チカたちも一緒に踊ろう?」

飛鳥「あ、あぁ」

千佳「最後は一緒に決めポーズだからね♪」

飛鳥「……仕方ない。こうなった以上、会得するしかないか。魔法少女の演舞を」フッ

ヘレン「その意気よ! 見事マスターした暁には、あなたを次代のヘレン候補として認めるわ!」

飛鳥「その認知は遠慮しておくよ」


6 :◆C2VTzcV58A :2018/03/06(火) 21:27:23.47 :R3SLFrm7O

光「魔法少女といえば、そう! 必殺技だ!」

飛鳥「これは予想できていた」

光「どんなのにする? 炎出す? 氷出す? ビーム? キック?」キラキラ

飛鳥「そうだな……ただ強いだけの技もいいけど、多少リスクがあったほうが物語に組み込みやすいかもしれない」

光「じゃあ使ったら自我を失う技にする?」

飛鳥「キミ、割と重い設定を出してくるね」

柑奈「使ったらラブとピースが世界に溢れる技にしましょう!」

飛鳥「第一話で話が完結しないか、それは」

梨沙「使ったらパパが褒めてくれる技!」

晴「使ったらサッカーがうまくなる技!」

飛鳥「ボクの必殺技に自分の欲望を託すのはやめないか」

光「まさに希望の魔法少女だな!」

飛鳥「物は言いよう、にも限度があると思わないか」

光「でもかっこよくない? 希望の魔法少女って」

飛鳥「………」イジイジ

飛鳥「まあ、響きとしては悪くない」

光「飛鳥ちゃん、うれしい時は右のエクステをいじるってPから聞いたけど」

飛鳥「………」シュバッ

光「気に入ってくれたんだ?」ニコニコ

飛鳥「………まったく、困ったプロデューサーだ。あとで覚えておけ」





P「っくしゅん!!」

ちひろ「プロデューサーさん、風邪ですか?」

P「いえ、花粉症です。今年は特にひどいような……気をつけないと」

心「ぶえっくしょーーーい☆☆☆」

P「心さん、もう少し静かにくしゃみしてください」


7 :◆C2VTzcV58A :2018/03/06(火) 21:29:21.07 :R3SLFrm7O

飛鳥「さて……今日のレッスンも終わったし、そろそろ帰ろうか」

飛鳥「………」


比奈「………」←廊下の曲がり角でスタンバってる

奈緒「………」←廊下の曲がり角でスタンバってる



飛鳥「道を変えよう」クルッ

比奈「そうはさせないっス!」

奈緒「魔法少女やるんだろ! やるんだよな! だったらいろいろ設定詰めたほうがいいと思うんだよ!」

比奈「偉大な先人達の資料を参考にすべきだと思うんでスよ~~」

飛鳥「いや、ボクは」

奈緒「というわけで、魔法少女の歴史をたどるためにアニメ鑑賞会をやろう!」

比奈「大丈夫大丈夫、先っちょだけでスから!」

飛鳥「これがオタクの力か……」ズルズルズル




梨沙「飛鳥も大変ねー」

梨沙「さ、アタシも役作り頑張らないと! でも、スパイシー帝国の闇の魔族ってどんな感じで演じればいいのかしら」


蘭子「………」ジーー

梨沙「………」

蘭子「………」キラキラ

梨沙「………」


梨沙「ちゃんと教えなさいよ?」

蘭子「うむ!!」


8 :◆C2VTzcV58A :2018/03/06(火) 21:31:07.46 :R3SLFrm7O

2週間後 屋上



飛鳥「………」


タンッ タンッ


P「おー、ずいぶん魔法少女らしいステップができるようになったじゃないか。いい感じに跳ねてる」

飛鳥「やぁ。そろそろ来る頃だと思っていたよ」

P「いつもふらっと屋上に消えるから、こっちとしてはたまに心配になるんだけどな」

飛鳥「今後は連絡したほうがいいかい? なんなら、ラインで『屋上』とだけ送るようにするけど」

P「不良の脅しみたいだな」

飛鳥「フフ、たしかにそうだね」


9 :◆C2VTzcV58A :2018/03/06(火) 21:31:33.80 :R3SLFrm7O

飛鳥「はじめの数日は、よく考えていたんだ。なぜキミが、ボクを魔法少女に選んだのか」

飛鳥「普通に考えれば梨沙が適任だし、年齢の問題はあれど心さんでもいい。でもキミはボクを選んだ。本来なら、それこそ闇の魔族のほうが適しているであろう、ボクを」

P「それで、答えは見つかったのか?」

飛鳥「いくつか候補はね。普段と異なる役柄を演じさせることで演技力を磨くためだとか、ギャップ萌えで新規のファン層を開拓するためだとか。理由はいくらでも作れそうだった」

飛鳥「でも、途中で考えるのをやめた」

P「ん? 飛鳥にしては珍しいな」

飛鳥「かもしれないね。少し、自分でも驚いている」

飛鳥「まあ、結論から言ってしまえば……他のことに夢中になった。みんなと一緒に、創り上げることに」

飛鳥「千佳やヘレンさんからは、魔法少女らしい立ち振る舞いを教わった。次代のヘレン候補に加えられかけたが、そこは断った」

飛鳥「光達と一緒に、必殺技を考えた。大半は好き勝手に願望を口にしていただけだが、個人の意見を統合することで、何が求められているのかを少しだけ理解できた気がする。エクステの色でフォームチェンジするという設定は正式採用された」

飛鳥「他にも、アニメ好きな人達と共に歴史を学んだり、心さんが役作りの一環だとか理由をつけて共同生活を持ちかけてきたり」

P「充実していたんだな」

飛鳥「あぁ」

飛鳥「……率直に言おう。楽しかった」

P「そうか。楽しかったか」

飛鳥「きっとキミは、理由を当てられるよりも、こう言ってもらえた方がうれしいだろう?」

P「その通りだ」

飛鳥「ふふっ。期待しておいてくれ。みんなで創った、魔法少女だ」


10 :◆C2VTzcV58A :2018/03/06(火) 21:32:12.42 :R3SLFrm7O

P「そしていよいよ、収録されたミニドラマの放送日を迎えた」


ハート『私はスウィーティー王国の使者・シュガーハート☆ 度重なる戦いで実体を保てなくなってしまい、一時の宿としてキミのスマホに入り込ませてもらったぞ☆ てへぺろ☆』

アスカ『勝手に人のスマホに入り込まないでくれないか』


P「どこにでもいる普通の中学生、アスカは、ひょんなことからスウィーティー王国とスパイシー帝国の争いに巻き込まれてしまう」


ヴァリサ『あーっははは!! スパイシー帝国の皇帝であるパパのために、この地球もろとも唐辛子まみれにしてやるわ!! 闇に飲まれよ!!』

ハート『だまらっしゃい! 地球はスウィーティー王国のような練乳まみれの星になるんだぞ☆』

アスカ『一地球人として両方ともに断固反対だ』

ヴァリサ『騒々しいわね! 喰らえ、セクシ-ファントムビーム!!』ヴァリヴァリヴァリ


P「降りかかる火の粉を払うため、アスカはしぶしぶシュガーハートに力を貸すことを決意する」


アスカ『あなたのハートをニノニノスウィート☆ 魔法少女スウィーティー☆アスカ、参上!』

アスカ『って、口が勝手に!? しかもなんだこのフリフリピンクな格好は!?』

ハート『ヘッヘッヘ、シンパイスルコトハナイ☆』

アスカ『この戦いが終わったらボクのスマホから出て行け……!』

ヴァリサ『なんかぶつぶつ言ってるわりにノリノリのステップね』

アスカ『体が勝手に動き出すんだ……!』


P「怒りの魔法で闇の魔族ヴァリサの顔を生クリームまみれにしたアスカは、なんとかスパイシー帝国の進軍を一時的に止めることに成功したのだが」


ハート『あ、ちなみに今の変身でハートとアスカちゃんの身体がつながったから♪ ハートが死んだら、アスカちゃんも道連れだぞ☆』

アスカ『……は?』

ハート『まさに一心同体だね☆ ハートだけに♪』

アスカ『勘弁してくれ……』


P「かくして、魔法少女スウィーティー☆アスカの戦いが幕を開けたのだった」

P「次回、第二話『練乳の甘さを覚えた闇将軍、スイパラへ行く』」


11 :◆C2VTzcV58A :2018/03/06(火) 21:33:12.75 :R3SLFrm7O

心「いやー♪ よかったね好評で!」

梨沙「トーゼンよ! アタシが体張ってクリームまみれになってあげたんだから!」

P「梨沙も悪役らしいいい演技だったぞ」

梨沙「蘭子に闇の一族っぽい演技を教えてもらったかいがあったわ♪」

飛鳥「監督の趣味で、やたらと脚を映すカットが多かった気もするが……」

P「それが結果的に、飛鳥の脚線美を印象付けることになったんだ。プラスだよ、プラス」

飛鳥「……キミも、嘗め回すように映像を見ていたね。あぁ、そうか。つまりはそういうことか」

P「えっ。いや、俺はただ完成品をじっくり見ていただけで、それ以外の感情は」

飛鳥「ヘンタイ」

P「うっ!」グサーッ

梨沙「やっぱりアタシが言うよりもダメージ大きいのよね」

心「梨沙ちゃんのは半分愛情表現になってるもんな♪」

梨沙「はぁ~? なにが愛情表現よ! そんなわけないでしょ!」

心「どうだかねー♪」


飛鳥「そうだ。次のスパイシー帝国の下っ端役はPにやってもらおう。盛大に散ってくれ」

P「マジか!?」

飛鳥「マジで」

P「マジだ……」

飛鳥「ふふっ」


12 :◆C2VTzcV58A :2018/03/06(火) 21:33:39.69 :R3SLFrm7O

蘭子「汝はロリコン! 罪ありき!」


心「梨沙ちゃん梨沙ちゃん、あれは?」

梨沙「一緒に練習してるうちにアタシの言葉遣いがうつったらしいわ」



おしまい


13 :◆C2VTzcV58A :2018/03/06(火) 21:39:56.54 :R3SLFrm7O

おわりです。お付き合いいただきありがとうございます
なんだかんだ飛鳥はヒロイックな役割も似合いそうですね

シリーズ前作:二宮飛鳥「ならばこの想いは、恋ではなく」
その他過去作
栗原ネネ「い、妹になってもいいですか?」
ミリP「しずかわいい」

などもよろしくお願いします


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【SS速報VIP】二宮飛鳥「魔法少女スウィーティー☆アスカ」
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